b型肝炎と肝移植ってどんな関係があるの?

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b型肝炎がきっかけで肝硬変や肝がんや劇症肝炎になると、肝移植が必要となる場合があります。これらの病気にかかった場合に必ず肝移植を行うわけではありませんが、症状が深刻な時は一刻も早く移植しなくてはならないケースもあります。

そこで、b型肝炎がきっかけで肝移植になる各ケースやb型肝炎ウイルスに感染するのを防ぐ方法について、それぞれ解説します。

b型肝炎とは?

b型肝炎とは、b型肝炎ウイルスに感染して肝臓が炎症を起こす病気です。b型肝炎ウイルスは全世界で3億人以上の人が感染し、日本でも100人に1人の人が感染しているといわれています。b型肝炎ウイルスは、ウイルスの含んだ血液や体液が体の中に入ることによって感染します。

以前は、輸血によってb型肝炎ウイルスに感染するケースが問題となりました。しかし、現在は検出試薬が開発されてスクリーニング検査がされるようになったので、国内での輸血による感染はかなり少なくなりました。また、母親から赤ちゃんへの母子感染が多かった時期もありました。

これは、赤ちゃんが産道を通る時にb型肝炎ウイルスに感染している母親の血液などから感染してしまうのですが、1986年以降は母子感染を予防するための対策がとられています。近年では、保育所内で園児や保育士が集団感染するケースや家庭内で感染するケースもあり、血液以外の体液(唾液など)によって感染するパターンも注目されています。

他にも性行為による感染や、ピアスや入れ墨の器具の使いまわしによって感染してしまう場合もあります。このように、様々な経路によって年間で約1万人が新たに感染しています。さらに、b型肝炎が治らないと慢性肝炎になり、そこから肝硬変や肝がんに進んでしまう場合もあります。

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b型肝炎から肝硬変になり、肝移植をする場合

b型肝炎ウイルスによって慢性肝炎が進行し、肝硬変になると肝移植が必要となる可能性があります。しかも、肝移植後は再発を予防するための対策が必要で、対策を行わないとほとんどの人が病気を再発してしまいます。再発予防の対策として、抗HBs人免疫グロブリン製剤が使われます。

この薬は人の血液中に含まれるb型肝炎ウイルスを攻撃する抗体を集めたもので、投与することによって移植後に活性化や増加しようとするウイルスを攻撃してくれます。その結果、肝臓がウイルスから守られます。また、ウイルスの複製が抑えられる核酸アナログ製剤であるラミブジンやエンテカビルも使われています。

ラミブジンは経口薬で、副作用が少ないという特徴があります。しかし、完全にウイルスを排除するわけではないので投与を中止すると急に増殖する可能性があります。また、長期投与によって耐性ウイルスが発生する可能性があります。

エンテカビルはラミブジンよりもウイルスを攻撃する作用の強い薬で、耐性ウイルスも出来にくいといわれています。ただし、既にラミブジンの耐性ウイルスが出現している人がエンテカビルに変更しても、交差耐性によってエンテカビルに対する耐性ができやすくなる場合があります。

b型肝炎が進行して肝がんになり、肝移植をする場合

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b型肝炎が進行して、慢性肝炎から肝がんになる場合もあります。肝がんで肝移植をする場合は肝臓の異常がある部分を全て摘出するので、肝がんだけではなく基礎疾患となっている肝硬変もいっぺんに治すことができます。

しかし、全ての肝がんに対して肝移植ができるわけではなく、肝がんが進み過ぎていると移植しても再発する可能性が高いため肝移植することはできません。肝がんへの肝移植には基準があり、大きさが3センチまでの肝がんは3個まで、5センチまでの大きさならば1個だけとなっています。

この基準内であれば、肝がんが原因での肝移植に成功する成績が他の疾患が原因での肝移植の成績と同じくらいになるので、移植は保険適応されます。また、肝がんに対してあらかじめ治療を受けている場合、その治療が終わった日から3か月以上経過してなおかつ移植前1か月以内の画像を元に、大きさや個数から移植が保険適応されるかを判定します。

この段階で基準を超えていても肝移植ができる場合がありますが、保険は適応されないので自費治療となります。

b型肝炎ウイルスから劇症肝炎になって、肝移植をする場合

b型肝炎ウイルスなどによって肝機能が悪くなり、症状が出てから8週間以内に意識障害をともなう肝不全になることを劇症肝炎といいます。劇症肝炎になった場合、自分の血液を取り出して血漿分離器で血漿成分と血球成分に分離し、自分の血漿を健康な人の血漿やアルブミンに置き換えて体内に戻す治療や、血液透析によって治療するケースもあります。

しかし、一般的にこれらの内科的治療ではその後の経過が悪いことが多いので、劇症肝炎の治療には肝移植が適しています。また、劇症肝炎は急速に病状が進むので、できるだけ早く肝移植をしなくてはいけません。意識障害が進むと昏睡状態になり、脳死状態となる可能性もあります。

さらに、他の合併症を引き起こして移植ができなくなってしまう可能性もあるので、意識障害が進んだり合併症を引き起こす前に肝移植をする必要があります。肝移植が成功すると、昏睡なども含めた意識障害は回復します。

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b型肝炎ウイルスへの感染を予防するためには?

日本でのb型肝炎ウイルスの感染予防は、b型肝炎ウイルスに感染している母親からの母子感染への対策と、希望者へのワクチン接種や子どもへの定期接種があります。母子感染の予防対策は、1986年に始まりました。当時は、b型肝炎ウイルスに感染している母親の産道を通る時に赤ちゃんが感染するのを防ぐために、出産時と生後2か月に抗HBs人免疫グロブリン製剤を接種していました。

また、生後2か月・3か月・5か月にb型肝炎ワクチンの接種もしていました。その後2013年に接種の仕方が変更され、生後12時間以内に抗HBs人免疫グロブリン製剤を1ミリリットル筋肉内に投与・b型肝炎ワクチンを0.25ミリリットル皮下注射するようになりました。

それから1か月後と6か月後に、b型肝炎ワクチンを0.25ミリリットル追加接種するようになりました。母親が検診時の検査などでHBe抗原陽性キャリアだとわかった場合、以前は生後2か月でも抗HBs人免疫グロブリン製剤を追加投与していましたが、2013年以降は省略されています。

医療従事者や警察官や救命消防士、b型肝炎ウイルスに持続感染している人と同居している人などは、b型肝炎ウイルスに感染するリスクが高いとみなされます。

そのため、感染リスクの高い人たちはb型肝炎ワクチンを接種することが推奨されています。ワクチン接種は、初回・初回から1か月後・初回から6か月後に行います。

母子感染は対策によって現状ではほとんど防げていますが、性行為や保育所での集団感染などそれ以外の原因での水平感染は無くなっていません。そのため2016年から、b型肝炎ワクチンの定期接種が行われるようになりました。

生後2か月から接種でき、初回・初回から27日以上経過後、初回から139日以上経過後の計3回接種します。0歳児は無料で接種することができるので、子どもの集団感染を防ぐためにも忘れずに接種する必要があります。